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コラム
年収の壁問題についての解説
2025年6月13日追記:2025年3月31日に令和7年度税制改正関連法が成立し、以下の記事の内容に変更があります。詳細は「令和7年税制改正による年収の壁の変更」をご確認ください。
はじめに
今回は、来年度の税制改正に向けて与野党の協議の目玉となっている「年収の壁」問題について、主要な年収の壁を取り上げて簡単に解説しようと思います。
年収の壁問題とは、日本の税制や社会保険制度において、特定の年収を超えることで税負担や保険料負担が増加し、かえって可処分所得が減少したり、働く意欲を削がれたりする問題を指します。この問題は特に、パートタイム労働者や主婦が直面することが多いです。
日本における主要な年収の壁
現時点における日本の主要な年収の壁は以下のとおりです。
なお、学生、ひとり親・寡婦・60歳以上の方々など、別途適用される年収の壁も存在しますので、下記表は網羅性を担保するものではないことをご理解・ご容赦頂ければ幸いです。
壁概要 | 壁となる収入金額 | 壁となる所得金額 | A.給与収入のみ | B.給与所得+給与所得以外 | C.給与所得以外のみ |
|---|---|---|---|---|---|
副業確定申告の壁 | ー | 200,000 | ー | 副業所得が20万円超の場合、確定申告が必要。 | ー |
住民税の壁 | 1,000,000 | 450,000 | 収入が100万円超で住民税(所得割)が課税。 | 所得合計が45万円超で住民税(所得割)が課税。 | 所得合計が45万円超で住民税(所得割)が課税。 |
所得税の壁・扶養の壁 | 1,030,000 | 480,000 | 給与収入103万円超で、所得税上の扶養が外れ所得税が課税される。また、扶養する側が配偶者控除を受けることができなくなる。 | 所得48万円超で所得税上の扶養ではなくなり、所得税が課税される。 | 所得48万円超で、所得税上の扶養ではなくなる。また、所得48万円超の場合は確定申告をする必要あり。 |
社会保険条件付加入義務の壁 | 1,060,000 | ー | 以下条件の会社に所属している場合、給与収入が106万円未満で扶養される側となる。 | 同左の条件で、副業所得は考慮されずに給与収入だけで判断される。 | ー |
社会保険必加入義務の壁 | 1,300,000 | 1,300,000 | 106万円の壁の条件を満たしていなくても、給与収入が130万円以上となると扶養から外れ、社会保険加入義務が発生。 | 所得合計が130万円未満で扶養される側となり、130万円以上で扶養から外れる。 | 所得合計が130万円未満で扶養される側となり、130万円以上で扶養から外れ国民年金や国民健康保険への加入義務が生じる。 |
配偶者特別控除減少の壁 | 1,500,000 | 950,000 | 給与収入が150万円を超えると、収入が増えるにつれて配偶者特別控除の額が徐々に減少。 | 所得金額が95万円を超えると、所得が増えるにつれて配偶者特別控除の額が徐々に減少。 | 所得金額が95万円を超えると、所得が増えるにつれて配偶者特別控除の額が徐々に減少。 |
配偶者特別控除消滅の壁 | 2,010,000 | 1,330,000 | 給与収入が201万円を超えると配偶者特別控除額はゼロとなる。 | 所得が133万円を超えると配偶者特別控除額はゼロとなる。 | 所得が133万円を超えると配偶者特別控除額はゼロとなる。 |
上記表を見るとわかるように、特にパート・アルバイトにおける給与収入103万円(所得税の壁・扶養の壁)という壁がパート・アルバイトの勤労意欲を阻害しているのではないか、として与野党にて変更を検討している状況です。
ここでいう103万円の壁というのは、48万円分の基礎控除と55万円の給与所得控除の合計額となっています。基礎控除は生活維持のために必要な最低限の収入には課税しないという趣旨、給与所得控除は給与所得者の経費相当額という趣旨を持つと理解していますが、このトータルの103万円の壁は、1995年からその金額が変わっていないのが現状です。
昨今の物価上昇を鑑みればこの壁を引き上げることは一定の合理性があるように思いますが、その分の税収源をどうするのか、(現時点では178万円という案が有力のようですが)どこまで引き上げることが妥当なのか、他の年収の壁との整合性をどう整理するかなど、検討課題が多く残されています。
まとめ
今回は「年収の壁」問題について簡単な解説をさせて頂きました。
当記事を書いている私も含め、税制改正に向けた今後の与野党の協議状況を注視していくことが必要となりますが、税金の話なのか、税務上の扶養の話なのか、社会保険上の扶養の話なのか、ニュースを聞いただけだとパッと分からないことも多いと思いますので、当記事が皆様の理解に資するものとなれば嬉しいです。
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